健康診断の結果を見るとき、多くの方が気にするのは、
「基準値を超えているか」
「H(高い)やL(低い)が付いているか」
ではないでしょうか。
もちろん、基準値から外れている数字を見ることは大切です。
しかし、血液検査は病気を探すためだけのものではありません。
実は、数字の変化から、
- 体を支える筋肉がどれくらい維持できているか
- 体を作り直す力が保たれているか
- 内臓がしっかり働くための材料が足りているか
といった、体の状態を読み取るヒントにもなります。
今回は、健康診断では見落とされやすい、
クレアチニン(Crea)
コリンエステラーゼ(ChE)
という2つの項目について解説します。
1.クレアチニン=体を支える「筋肉量」の目安
クレアチニンは何を見る数字?
クレアチニンという名前を聞くと、
「腎臓の検査でしょ?」
と思う方が多いかもしれません。
実際、クレアチニンは腎臓の状態を見るためによく使われる項目です。
しかし、もう一つ大切な見方があります。
それが、
体にどれくらい筋肉があるかを見る目安になる
ということです。
クレアチニンは筋肉を使った後にできる物質
筋肉は、体を動かすために常にエネルギーを作っています。
その過程で、使われた材料からクレアチニンという物質が作られます。
その後、
筋肉で作られる
↓
血液中に出る
↓
腎臓で処理される
↓
尿として排出される
という流れになります。
そのため、一般的には、
筋肉量が多い人ほどクレアチニンは高め
筋肉量が少ない人ほどクレアチニンは低め
になる傾向があります。
クレアチニンが低い場合に考えたいこと
健康診断でクレアチニンが低いと、
「腎臓は問題なさそうですね」
と終わることもあります。
しかし、体全体を見ると、
筋肉量が少なくなっていないか
という視点も大切です。
例えば、
- 食事量が少ない
- 無理なダイエットをしている
- 運動量が減っている
- 年齢とともに筋肉が減っている
という場合、筋肉量の低下によってクレアチニンが低く出ることがあります。
極端な食事制限で筋肉が減ることも
体はエネルギーが不足すると、
「足りないエネルギーをどこから作ろうか」
と考えます。
そのとき、体は筋肉などを分解してエネルギーを作ろうとすることがあります。
特に、
- お米を極端に抜く
- 食事量を大きく減らす
- 短期間で体重を落とそうとする
といった方法を続けると、筋肉を維持する材料が不足しやすくなります。
筋肉が減ると、
- 基礎代謝が落ちる
- 冷えを感じやすくなる
- 疲れやすくなる
- 運動しても力が出にくい
といった変化につながることがあります。
2.コリンエステラーゼ=肝臓の「作る力」を見る目安
コリンエステラーゼとは?
コリンエステラーゼ(ChE)は、肝臓で作られる酵素の一つです。
酵素とは簡単にいうと、
体の中でさまざまな働きを助ける物質
です。
コリンエステラーゼは、肝臓がどれくらいタンパク質を作る力を保っているかを見る一つの目安になります。
肝臓は体の「製造工場」
肝臓というと、
「アルコールを分解する場所」
というイメージが強いかもしれません。
しかし実際には、
- タンパク質を作る
- 栄養を加工する
- 体に必要な物質を作る
など、さまざまな仕事をしている重要な臓器です。
例えるなら、
体の中の大きな製造工場
のような役割があります。
コリンエステラーゼは、その工場がどれくらい働いているかを見る一つの指標になります。
コリンエステラーゼが高い・低い場合
高い場合
コリンエステラーゼが高い場合、
- 食べ過ぎ
- 脂質の摂りすぎ
- 肝臓に脂肪がたまっている状態
などが関係していることがあります。
つまり、
「肝臓が元気すぎる」
というより、
処理する仕事が増えて負担がかかっている状態
の可能性があります。
低い場合
コリンエステラーゼが低い場合は、
- 肝臓で作る力が落ちている
- 栄養状態が不足している
- タンパク質を作る材料が不足している
など、体の状態を確認するきっかけになります。
肝臓が働くためには、
- エネルギー
- タンパク質
- ビタミン
- ミネラル
など、さまざまな材料が必要です。
材料が不足すると、体は生命維持に必要な部分を優先するため、修復や作り替えの働きが後回しになることがあります。
クレアチニンとコリンエステラーゼを合わせて見る
この2つの数字を一緒に見ると、
「筋肉の状態」
「体を作り直す力」
を考えるヒントになります。
| 状態 | 考えられる体の状態 |
|---|---|
| クレアチニン高め・ChE高め | 筋肉量は多いが、食生活による肝臓への負担も確認したい |
| クレアチニン高め・ChE低め | 筋肉は維持できているが、栄養状態や回復力を確認したい |
| クレアチニン低め・ChE高め | 筋肉量が少なく、肝臓への負担がある可能性 |
| 両方低め | 筋肉量や栄養状態、体の回復力を見直すきっかけ |
特に、
クレアチニンもコリンエステラーゼも低い
という場合は、
「病気ではないから問題なし」
と簡単に判断せず、
- 食事量は足りているか
- 体重が減っていないか
- 筋肉が落ちていないか
- 疲れが続いていないか
を振り返ることが大切です。
筋肉と肝臓を整えるために大切な3つのこと
① 極端に糖質を減らさない
体はエネルギーが不足すると、筋肉を分解して補おうとすることがあります。
特にお米などの糖質は、体を動かすための大切なエネルギー源です。
毎食、適量の主食を摂ることを意識しましょう。
② タンパク質をしっかり摂る
筋肉も、肝臓で作られる物質も、材料はタンパク質です。
- 肉
- 魚
- 卵
- 大豆製品
などから、毎食少しずつ摂ることが大切です。
③ 消化・吸収できる状態を作る
せっかく食べても、体が利用できなければ材料として使えません。
よく噛むこと、食事環境を整えること、胃腸の状態を整えることも大切です。
まとめ|血液検査は「病気探し」だけではない
クレアチニンとコリンエステラーゼは、単なる検査項目ではありません。
体が今、
「筋肉を維持できているか」
「体を作り直す力が残っているか」
を見るヒントになります。
今回のポイントをまとめると、
- クレアチニンは筋肉量を見る一つの目安になる
- 数値が低い場合は筋肉量や栄養状態を見直すきっかけになる
- コリンエステラーゼは肝臓がタンパク質を作る力を見る指標の一つ
- 数値だけではなく、食事や体調と合わせて考えることが大切
- 体を整えるには、エネルギー・タンパク質・ビタミンなどの材料が必要
血液検査は、
「基準値内だから大丈夫」
で終わらせるのではなく、
自分の体が今どんな状態なのかを知るためのヒント
として活用することができます。
体質から整えて改善していきたい方は、体質改善の完全ガイドもあわせてご覧ください。
※本記事は血液検査についての一般的な情報を紹介するものであり、診断や治療を行うものではありません。検査結果について気になる点がある場合は、医療機関へご相談ください。


