「デトックスのためにファスティングをしている」
「コレステロールや体重が気になるから、油はできるだけ避けている」
そんな方も多いのではないでしょうか。
油を控えることは、健康やダイエットのために良いと思われがちです。
しかし、油を極端に減らし続けることが、体の中の「胆汁」という消化液の流れに影響することがあります。
胆汁は、脂肪を消化するだけでなく、体の中で不要になった物質を便と一緒に外へ出す働きにも関わっています。
そのため、
「油を抜けば、体の中がきれいになる」
と単純に考えるのは注意が必要です。
今回は、ファスティングや極端な脂質制限と、便秘・胆石・コレステロールの関係について、できるだけ簡単に解説します。
1.体の中の「油に溶けやすいもの」はどうやって外へ出す?
体の中で不要になったものには、さまざまな種類があります。
水に溶けやすいものは、主に尿などを通して体の外へ出されます。
一方で、水には溶けにくく、油になじみやすい物質もあります。
こうした物質の処理には、肝臓で作られる「胆汁(たんじゅう)」が関わっています。
胆汁は、肝臓で作られたあと、いったん「胆のう」という小さな袋にためられます。
そして食事をすると、必要に応じて腸へ送り出されます。
つまり胆汁は、
脂肪を消化するための消化液
であると同時に、
体の中で処理された一部の不要な物質を、便と一緒に外へ出すためにも関わっている
ということです。
2.なぜ「油を食べること」が胆汁に関係するの?
ここが、油を極端に減らすときに知っておきたいポイントです。
食事をすると、消化管は「食べ物が入ってきた」と判断します。
特に脂質が入ってくると、胆のうが縮んで、ためていた胆汁を腸へ送り出す働きが起こります。
イメージすると、
食事をする
↓
油が入ってくる
↓
胆のうがギュッと縮む
↓
胆汁が腸へ出ていく
という流れです。
ところが、ファスティングなどで長時間食事をしなかったり、脂質を極端に避けたりすると、胆のうが胆汁を送り出す機会が少なくなることがあります。
そのため、「油を完全に抜けば抜くほど健康になる」とは限らないのです。
3.胆汁が長くたまると「胆石」の原因になることも
胆のうに胆汁が長くとどまると、胆汁が濃くなり、成分が固まりやすくなることがあります。
その結果、胆汁の中に小さな結晶ができ、それが大きくなると**「胆石」**と呼ばれるものになります。
胆石にはいくつか種類がありますが、日本で多く見られるのが、コレステロールを主成分とするタイプです。
そのため、
「油を食べすぎると胆石になる」
というイメージだけで考えるのではなく、
「胆汁が長くとどまることも胆石の一因になる」
ということも知っておきたいポイントです。
ただし、胆石は食事だけで決まるものではありません。
体質や年齢、急激な体重減少など、さまざまな要因が関係します。
4.ファスティング中の便秘にも関係する?
ファスティングを始めてから、
「便が出にくくなった」
「お腹が張るようになった」
と感じる方もいます。
もちろん、食事そのものの量が減れば、便の材料も減るため、排便回数が少なくなることはあります。
また、食事量が少なくなることで腸への刺激が減ったり、水分や食物繊維の摂取量が変化したりすることも便秘の原因になります。
さらに、胆汁も消化の過程で腸へ流れ込むものです。
そのため、食事を極端に減らすことで消化管全体の働きが変化し、便通に影響することがあります。
ただし、
「ファスティング中の便秘=胆汁が止まっている」
と決めつけることはできません。
便秘には、水分不足、食物繊維不足、運動不足、腸の動き、生活リズムなど、さまざまな原因があります。
便秘について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
便秘薬だけでは根本改善しない?便秘を繰り返す本当の原因と腸内環境の整え方
5.「油をゼロにする」のではなく、適量を摂る
では、どうすればいいのでしょうか。
大切なのは、
「油をたくさん摂る」ことでも「完全に避ける」ことでもありません。
体に必要な脂質を、適量摂ることです。
例えば、
- 肉
- 魚
- 卵
- ナッツ類
など、普段の食事から脂質を摂ることができます。
脂質は、胆汁の働きだけでなく、細胞膜やホルモンなど、体を作るうえでも必要な栄養素です。
そのため、
「ダイエット中だから油は一切食べない」
という極端な制限は避けたいところです。
6.胆汁の働きを支えるには「食事全体」が大切
胆汁を作っているのは肝臓です。
そして肝臓が働くためには、脂質だけでなく、エネルギーやタンパク質、ビタミン、ミネラルなど、さまざまな栄養が必要です。
つまり、
油だけを意識すればいいわけではありません。
主食からエネルギーを摂り、肉・魚・卵などからタンパク質を摂り、野菜などからビタミンやミネラルを補う。
こうした食事全体のバランスが、体の働きを支える土台になります。
腸内環境や栄養についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
【花粉症対策】腸内環境と栄養でアレルギーに負けない体をつくる方法
まとめ|「油を抜けばデトックス」は本当?
ファスティングやダイエットでは、
「油は太るから、できるだけ減らそう」
と考えてしまいがちです。
しかし、脂質は体にとって必要な栄養素であり、食事に含まれる脂質は胆のうから胆汁を出すきっかけの一つにもなります。
今回のポイントをまとめると、
- 胆汁は脂肪の消化を助けるだけでなく、体内で処理された一部の不要な物質を便と一緒に排出する働きにも関わっている
- 食事や脂質を極端に減らすと、胆汁が腸へ出る機会が少なくなることがある
- 胆汁が長くとどまることは、胆石ができる要因の一つになる
- ファスティング中の便秘には、食事量の減少や水分・食物繊維不足など、さまざまな原因がある
- 油は完全に避けるのではなく、肉・魚・卵・ナッツなどから適量を摂ることが大切
「油を抜けば体がきれいになる」と考えるのではなく、
「体に必要な栄養を適量摂りながら、体本来の働きを支える」
という視点を持ってみましょう。
体質から整えてダイエットしたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
体質改善ダイエットとは?食事制限だけのダイエットとの違い【宇都宮】
※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、医学的な診断や治療を行うものではありません。胆石による強い腹痛、発熱、黄疸などがある場合や、便秘が長く続く場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。


